設立趣意書

熊野地方には森林とともに生きてきた人びとの歴史があります。農耕に適した平地が少ない山あいの地で、人間は生活圏である森林から食糧、生活物資、交易品等を得るすぐれた技術、また狼の棲む深い森林を畏れ敬う高い精神性をもって生活してきました。

現代の日本では、世界中とつながった、都市圏を中心とした経済が大変な発展を遂げた一方で、多くの人びとの暮らしは森林から地理的、物質的、精神的に遠ざかってしまいました。

いま、私たちは現在までの方法でずっと発展し続けることはできないことに気づいています。人間が自然を搾取する一方的な関係を見直し、人間は自然と共生していかなければならないということは、世界的にも優先して取り組むべき課題となっています。

自然と共生するということは、自然を人間から切り離して保全したり、人間を自然から切り離して都市生活に押し込めればすむものではありません。むしろ隣り合う自然と向き合い、永続的な方法や範囲をみきわめながら、創意工夫し、広い意味での利用を続けていくこと、そうして常に自然とより良く関わる方法を模索していくことが、本当の共生には必要なことです。

私たちは、自然と人間の共生を求めて、これからの森林の利用はどうあるべきか、考え、試行し、実践していくために、本法人を設立することといたしました。

      平成26年8月21日
      設立代表者
      住所   和歌山県田辺市本宮町請川
      氏名   藪内 徹